M-Rokkor 40mm F2予想外を楽しむ”相棒レンズ”

オールドレンズに、心を掴まれた私
気づけばオールドレンズにハマっていた。
それは、光や時間、その場にあるすべてを写し取りたいと思ったから。
ピントがズレていたり、予想外のゴーストが出たり。
でも、それも含めて「その時」なんじゃないかと思っている。
私の相棒はMINOLTA M-Rokkor 40mm F2 。
軽くて、小さくて、それでいてしっかり写る。だけど、完璧すぎない。
そんなところが、このレンズの魅力だ。
今回は、このM-Rokkor 40mm F2と一緒に歩いた街の記録と、
「予想外を楽しむ」撮影の面白さを、私なりの視点で綴ってみたいと思う。
MINOLTA M-Rokkor 40mm F2とは?
“懐かしさ”と“切れ味”を同居させた、小さな名玉。
MINOLTAがライツと提携していた時代に生まれたM-Rokkor 40mm F2。
1970年代の製造ながら、今でも現役バリバリで使える、まさに“時間を超えてきたレンズ”だ。
焦点距離は40mm。
標準レンズよりほんの少し広く、でも広角ほどクセがない。
だから、街を歩いていて「撮りたい」と思った瞬間に、ちょうどいいフレーミングができる。
重さは約126g。
愛機NikonZ7に装着しても驚くほど軽くてコンパクト。
撮る気持ちを軽やかにしてくれる相棒だ。

そして何より、Mマウントレンズらしいスッキリとしたデザインがたまらなくかっこいい。
古いNikonの金属フードをつければ、見た目も最高に渋くキマる。

絞り開放のF/2では、柔らかく、少し滲むような描写。
でも、絞れば一気にシャープになる。そのギャップも、このレンズの面白さのひとつ。
ピントリングのトルク感も絶妙で、操作感がすごく良い。
ファインダー越しに「今だ」とピントを合わせる感覚が心地いい。
オートフォーカスのレンズにはない、“撮るという行為そのもの”をしっかり味わわせてくれる。
街スナップに最適:パンフォーカスでサクサク撮る
M-Rokkor 40mm F2を持って街を歩くと、自然と目が「撮りたい瞬間」を探し始める。
人の流れ、看板の色、夕方の影。
そんな日常の一瞬に、このレンズはすっと応えてくれる。
おすすめはパンフォーカス でのスナップ撮影。
私の設定は、F/16まで絞って、無限遠を距離指標の“16”に合わせる方法だ。

いちいちピントを合わせる必要がないのはもちろん、全体的にピントが合っているようで、実は少し甘かったり、コントラストがふわっと弱まったり。
でも、だからこそ「空気感」まで写し出してくれる、そんな不思議な描写になる。
立ち止まらずテンポよくスナップできるし、移動の合間でも「今だ!」と思った瞬間にすぐシャッターが切れる。
この気軽さが、本当に心地いい。
Nikon Z7との組み合わせなら、高解像で“あとからクロップできる”という安心感もある。
その安心感ががあるから、より自由に、感覚的にシャッターを切ることができる。
撮った写真をあとで見返すと、そこには、ただの風景だけじゃなく光や空気まで写っているような気がする。
それが、このレンズの底力なんだと思う。
描写のクセや味:予想外を楽しむ
オールドレンズの魅力は、「思い通りにならないところ」にある。
現代のレンズのように、シャープでコントラストが高くて、どこを撮っても完璧…じゃない。でも、それがいい。
開放付近で撮ると、ピント面はわずかににじんで光がふわっと滲むように写る。
まるで“記憶の中の景色”みたいに、どこか懐かしい雰囲気になる。

逆光ではゴーストやフレアが出ることもあるど、それが写真にちょっとした“リズム”や“感情”を与えてくれる。
なかでも、 M-Rokkor 40mm f2 は 綺麗な虹色のフレア が出る。
これが私のお気に入りポイントのひとつだ。

ときどきピントがズレて「あ、やっちゃった…」ってなることもあるけど、後から見返すと、その“ズレ”が写真に味を出していることも多い。
このレンズは、被写体にぴったりピントを合わせて「バシッ」と撮ると立体感が出るし、
ラフに構えてシャッターを切っても、いい表情を見せてくれる。まさに“二刀流”だ。
完璧じゃないからこそ、撮った瞬間の気持ちや空気感が写っていると思える。
“写りすぎない”ことが、こんなにも味になる。
そんなオールドレンズM-Rokkor 40mm F2が、私は好きだ。
まとめ:不完全だから愛おしい
完璧に写るレンズは、今やいくらでもある。
だけど、思い通りにならないレンズと歩く街には、思いがけない出会いや発見が、きっと待っている。
MINOLTA M-Rokkor 40mm F2は、私にとってただの道具じゃない。
ちょっと不器用だけど、芯のある描写をしてくれる、信頼できる“相棒”だ。
ピントがズレたり、フレアが出たり、コントラストが甘かったり。
でもそのすべてが、「その瞬間にしか撮れない写真」を形にしてくれる。
パンフォーカスでサクサク撮ってもいい。
絞り開放で、あえて甘く仕上げてもいい。
このレンズは、そのときの“気分”や“空気”をちゃんと写してくれる。
これからもM-Rokkor 40mm F2を持って街を歩いていこうと思う。
シャッターを切ったその先に、何が写っているかは撮ってからのお楽しみだ。